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ご存知、ムラセミノーの作者
村瀬達也氏
感動保存工房むらせ

 ハンドメイドルアーの世界

1970年代初頭、市場にハンドメイドルアーが登場する前の時代、まったくの手探り状態からルアー作りが始まった。何をマテリアルにしたらよいのかもはっきりわからないまま、工具・塗料などルアー作りのヒントになるものなら何でも利用していた。

やっとの思いで完成したが、風呂場でスイムテストすると動かない!こりゃだめだと思い、捨てようとした失敗作が見事に泳いでしまう!そんな「失敗は成功の基」を地でいく体験の中から、ムラセミノーは生まれた。

商品作りは、まず売れる品を製造することが大前提になるとは思う。しかし売ることだけが先行したもの作りを続けていると、無意識のうちに顔なしのヒット商品の贋造品になりがちで、売りっぱなしの一方的な商売になってしまう。それは釣ることだけが目的の釣りと同じで、もの作りの上でキモになるユーザーに対する責任感、それに遊び心に不可欠な好奇心、目的に到達するために必要なプロセスの時間をすべて失うことになる。

特にビルダーの名をかざしたハンドメイドルアーには、手にした時、既製品では味わえない作者の個性・ポリシーが感じられなければならない。また、ユーザー側からみても「今、売れてます」「このルアーは○○○でヒット中!」のキャッチコピーで選ぶのではなく、どうしたらこの道具で釣ることができるのかを考えながら、タックルを選び、フィールドに立った方が、釣りの奥深さがみえてくるはずだ。流行を追いかけず、自分の創意工夫から楽しさをみつけ出す遊びの方が、よほど面白いのだ。

しょせん趣味とは自己満足のかたまりである。人が何といおうと、自身が他人に迷惑をかけず、巻き込まれず、楽しければそれでよいのだと思う。趣味にはまりこみ、キャリアを積んでいくと、自分の感性にマッチした遊び方やもの作りのスタイルが、こだわりという形で自然と身についてくる。そのこだわりを駆使して遊びの領域を広げると、さらなる発見、楽しさが増幅され、仕事のエネルギーへと転換されていく。

自作ルアーで魚を釣り、その魚を自分で剥製にし、部屋にディスプレイして至福の時を過ごす……。自己満足の世界だが、それが楽しい。ムラセミノーは、そういう楽しみを大切にしながら作り続けていきたいと思う。

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